暗記はしなくてもいいの?

インターネットの発達により、私たちのまわりには「情報」があふれています。

あらゆる情報が、いとも簡単にアクセスできる状態で存在しています。

このことがこれからの「学び」に大きくかかわってきます。

 

いわゆる「アクティブラーニング」を学校教育で推し進めようとしています。

ネットが発達する前はわからないことは教えてもらうか本で調べるかでした。

簡単にわからないことを調べることができるようになりました。

わからないこと、なぜと思ったことをさらに深く探求していこうというのが

いわゆるアクティブラーニングです。

 

「地球温暖化ってどうしておこるの?」

「地球と太陽はどのくらい離れてるの?」

「江戸幕府はいつできたの?」

そういうものは、いまは質問する事ではなく、自分で「調べることのできること」です。

 

生徒たちによく言うのですが、

「なぜ?」「どうして?」「これって何?」と思いなさい。

思ったら調べなさい。とよく言います。

疑問に思ったことは調べなさい。

そのうえで、考えて、さらに疑問に思ったら質問してみたらいいのです。

いまの子達には、まず「自分ですぐに調べる」クセをつけて欲しいと思っています。

 

ところが、その一方で別の考えも生み出すことになります。

すぐ調べることができるのだったら、

「暗記はしなくていいよね」「覚える必要はないよね」という考えです。

このことについてしっかりと考えておかないと、

「学び」の意味がわからなくなってきます。

 

私たちはテストや勉強のためだけに「情報・知識」を必要としているわけではありません。

 

「地球温暖化の原因となる気体を選びなさい」という問題に答えるだけであれば、

知識としてもっていなくても問題はありませんよね。ネットで調べれば良いだけです。

 

ところが実際の生活では違いますよね。

わたしたちはいろいろな「情報・知識」を組み合わせて、

その中から私たちの「考え・思考」を取り出すために「情報」を必要としています。

この「情報」を組み合わせをするのは私たち自身です。

「インターネット」が考えてくれるわけではありません。

もともと私たちが持っている「情報」と新たな「情報」とを組み合わせることにより

あらたな「思考・考え」が「頭の中」で起こります。

 

日々の新たな情報を持つごとに私たちはいろいろな頭の中のネットワークを使って

新たな「化学反応」をおこして、新たな「思考・考え」を作っていきます。

そのような反応をおこすことのできる状況を作っておくことが

「学ぶこと」の意義でないかと思います。

 

「地球温暖化の原因物質は二酸化炭素」という一つの情報を得たとして、

それをどう処理して、どう新しい「思考・考え方」に結びつけるのかは

一人ひとりのそれまでの知識や情報・思考・考え方によって違ってきます。

頭の中に良質な知識をたくわえておくことにより

良質な思考・考え方に結びついていくのではと思います。

ということは「学び」の意味は本質的に今も昔も変わらないということです。

「暗記」「覚える」という作業により、頭の中にいろいろな知識をたくわえる。

それが次の「思考・考え方」を生むということです。

そういう意味でいうと

私自身もふくめて「学び」というものは今も昔も一生続くということですね。