中1の一学期が大事って本当?

いよいよ小6生は4月から中1生です。お子さんたちは中学生になる緊張とわくわく感でいっぱいでしょうね。今は中学生活への期待も希望もいっぱい。でも勉強への不安も---。

1.英語がかなり難しくなっています
保護者の皆さん、「英語ってアルファベットから始まるのでしょ。」
「中1の1学期のテストなんて、みんな90点以上、100点もとれる。」
そう思っていませんか?
実際、2年前まではそうでした。
ところが今は中1でもっともひっかかっている科目が英語なんです。
今までは数学難民とか言って、算数から数学に代わり、急にわからなくなったというお子さんが多かったです。
ところが、去年からいわゆる「英語難民」がいっぱい。

昨年、教科書改訂され、特に大きく変わったのが英語の学習内容。
中1の間に一般動詞の過去形・be動詞の過去形・過去進行形まで学習します。
しかも中学校で覚えるべき英単語量が1200語から2500語と倍増。
ここで問題なのが、小学校の間に約700語を覚えているという前提で
新しい教科書はできています。
つまり小学校の間に覚えているお子さんと覚えていないお子さんとの間に
最初から英語格差があるということになります。
覚えていない子はどうすればいいのか?
学校が始まるまでにある程度覚えておくか、
または中学校で学習するときに、新出単語と合わせて覚えていくことが必要となります。
いままでは中1一学期の英語はある程度慣らし運転的要素が大きかったのですが、
去年からはそうはいかないということをよく認識して臨む必要があります。

2.中1ってそんなに大切なの?
中2生・中3生に「苦手科目はいつから苦手になったか」「勉強はいつから難しくなったのか?」という質問をすると、ほとんどの子が「1年生の2学期」と答えます。特に英語と数学で。

それを証明するように定期テストの平均点は、1学期の中間テストが最高で、ほとんどの科目で下がり続けます。
ある中学校の1年生の学年平均を調べてみますと
5教科合計では、351 ⇒279 ⇒ 276 ⇒ 243 ⇒ 256と変化します。
1学期中間テストから学年末テストまで5回のテストで5教科の合計点の平均は100点ほど下がってしまいます。ただし、これはあくまでも平均です。

中1の成績層を大きく3つに分けるとします。
まず、成績上位層。1学期中間で400点や450点をとったお子さんはほとんどが成績をキープしていることが多いです。この成績の子たちは目的意識がはっきりしていますし、それなりの勉強方法をキープしていきます。
つぎに1学期中間で失敗をして5教科合計100点台と成績がかんばしくなかったお子さんがさらに合計点で100点下がることもないでしょう。逆に奮起して上がる可能性の方が高いです。
ということは、5教科合計の全体の平均が100点ほど下がるということは、合計200点台・300点台の成績中間層である”普通の生徒たち”の多くが1年間かけて5教科合計で100点以上、下がっているということになります。

中2生・中3生の5教科合計の平均は中1の学年末テストからは大きく変わりません。
ということは1年生の1学期の中間テストがある程度の基準となり、3年生の成績まで予測できてしまうということになります。その予測をくつがえすかどうかは頑張りしだいです。成績を上げることも可能です。

成績が下がる原因は?

では成績が下がってしまう原因は何でしょう?ここが分かれば対策をすることが可能です。

①次第に授業の難易度が上がるのに授業スピードが速くなり、1回のテスト範囲が広くなること。
たとえば、英語。中1の一学期の学習範囲は I  am,  You are。I play tennis. 英語の基礎の基礎です。
ところが、二学期になると複数形、三単現、疑問詞、代名詞。三学期になると進行形に過去の文。
数学だと一学期は正の数・負の数と文字式。二学期になると方程式に比例反比例。さらには平面図形。
学習のレベルと量は圧倒的に多くなります。

②1学期の中間テスト後、クラブ活動が本格化します。特に夏休みや2学期になると中3生が部活を引退して、中1・中2が中心となり、練習がハードとなりその疲れもあり、勉強時間が減ってしまいます。特に2学期は学校行事も多いです。体育大会、合唱コンクールと、つい勉強に気持ちが集中できなくなるころです。

③入学当初の緊張感・勉強への意欲が薄れるというか慣れてしまうというか、十分な家庭学習の時間を取れなく(取らなく?)なり、学習習慣が薄れてきます。

この3つが主に考えられます。

成績を下げないためにするべきこと

では解決策は? もちろん、答えは一つではありません。

①次第に授業の難易度が上がり、授業のスピードが速くなり、1回のテスト範囲が広くなること

入学式からしばらく授業は本当にゆっくりと進められます。学習内容が簡単に感じられることもあるでしょう。一学期の間、特に中間テストまでの間に学習の流れ・学習習慣をつかんでしまうことが大切です。

具体的には行動を1週間単位で考えるようにしましょう。中学校は小学校と違って宿題はあまり出されません。だから自分で勉強する必要があります。具体的な勉強方法としては特に復習を。1週間の授業で学習した内容を日曜までに解いてみてください。分からなかった問題は解答を見て勉強します。学校のワークを利用してもいいですし、塾を利用してもいいですね。当然、小学校よりは学習内容が難しくなるわけですから、学校の授業を聞いただけでは理解できないかもわかりません。予習をしておいて、授業で復習することも方法の一つです。

②1学期の中間テスト後、クラブ活動が本格化し、その疲れもあり、勉強時間が減ってしまうこと。
③入学当初の緊張感が薄れ、適度な家庭学習の時間を取れなく(取らなく?)なる。

人は新しい環境に入るとがんばろうとします。中学生になったから〇〇し始める、といったようなことです。ところが、新しい環境になれてくると、せっかく始めた〇〇をやめてしまいがちです。習慣になるまで、あたりまえになるまで続けることが大切です。コツは「やる気」に頼らないことです。
たとえば、勉強習慣を身につけるにはどうすればいいか?
宿題や課題があるから勉強をするというのではなく、毎日、時間を決めて勉強してください。
その時間には必ず勉強するのです。その勉強時間に何をするのかを考えましょう。
たとえば、授業で進んだところのワークをするとか、英語の単語を覚えるとか、そこへ勉強することを当てはめていきましょう。最初は時間は短くてもいいと思います。大事なのは学習習慣を身につけるということです。
テスト前に頑張るという人もいますが、日ごろできていない人はテスト前になってもなかなかテスト勉強に入れないことがありますが、日ごろの学習習慣を持てるようになったら、その時間をテスト対策にすればいいだけです。

塾だから言うのではありませんが、うまく塾を利用すると、正しい学習習慣を身につけやすいのではと思います。塾は利用するものです。とりあえず塾に通っていればというのではだめです。

こういうことからも中1の一学期が大事ということをおわかりいただけたでしょうか。
1年生の間に正しい学習習慣を身につけるとすごく中2・中3でやりやすいです。
勉強することが当たり前になるのか、勉強することが特別なことになるのか。